百音(ひゃくおん)と狂乱の旋律!『のだめカンタービレ』が奏でる恋と音楽のシンフォニー

ーー夜更けのアパート。グランドピアノの蓋がガタンと閉まる音に驚いた千秋真一は、慌ててドアを開ける。「のだめ、また練習か?」すると野田恵は、真っ赤な寝癖だらけの髪を振り乱しながら、満面の笑みで叫んだ。「千秋先輩!この曲、もうちょっとだけ聴いてほしいの~!」。無邪気に跳ねる彼女の指先からは、まるで天使が戯れるようなソナタの旋律が溢れ出し、千秋の理論一辺倒だった心をふわりとほどいた。

『のだめカンタービレ』は、国内外のクラシック音楽シーンを舞台に、ストイックなエリート音大生・千秋と、自由奔放な変人ピアニスト・のだめが織りなす恋と成長のジャズ風ラブコメディだ。飛行機恐怖症ゆえにパリ留学を断念し、自らを追い込む千秋。そんな彼の前に現れた〝のだめ〟こと野田恵は、掃除ゼロ・洗濯ゼロ・家賃踏み倒しという無軌道生活ながら、驚異的な耳と感性で周囲を巻き込み、千秋の堅苦しい世界を一気にカンタービレ(歌うように)彩っていく。

漫画から飛び出すのは、耳を塞ぎたくなるような痛快なギャグと、演奏シーンの圧倒的な臨場感。ページをめくるごとに“のだめの指先”から音が聴こえてくるかのような錯覚に襲われる。譜面と向き合い、夜通しリハーサルに明け暮れる千秋が、のだめの不器用な優しさに触れ、やがて自分だけの音色を探し求める姿は、まさに青春そのものだ。

コミックスは『Kiss』誌上で2001年から2010年まで連載され、全24巻。累計発行部数は2,500万部超えの大ヒット。「千秋ロス」「のだめロス」という言葉を生み出したほど、読者の心を鷲掴みにした。2006年・2008年にはフジテレビ系で実写ドラマ化、続く映画版も大旋風を巻き起こし、サントラや関連CDはチャート常連に。さらに2007年にはアニメ版も放送され、「クラシックへの入口になった」という声が後を絶たない。

音楽だけでなく、のだめの大好きなジャンクフードや、千秋が絶品と賞賛するパリのクロワッサン、コンサートホールの香りまで、作品周辺には味わい尽くせない魅力が満載だ。二人の出会いを描いた原画展やコンサート・イベントも開催され、演奏家や漫画ファンが一堂に会して〝のだめ旋風〟に酔いしれた。

まずは無料試し読みで、二人の音楽劇を体感してほしい。第1巻の冒頭を公開中のサイトはこちら:

千秋の厳格さと、のだめの奔放さがぶつかり合う――そんな二重奏があなたの胸を高鳴らせる。音符の海を漂う恋のシルフォニーに、ぜひ身をゆだねてみてほしい。

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